介護用品のレンタルとは?メリットや介護保険を利用できる例を解説

一緒に暮らすご家族の方が、介護が必要になり、在宅介護をするとなったとき、最初に悩むのが「介護用品をどうやって準備したらいいの?」ということではないでしょうか。

 

車いすや介護用ベッド、そのほか必要に応じてすべての介護用品を購入するとなると、金銭的な負担が大きくなります。しかし、介護用品はレンタルも可能です。そして、介護保険を利用できる例もあるので安心です。

 

この記事では、介護用品のレンタルについて、メリットやデメリット、利用の流れなどを詳しく解説します。

介護用品ってレンタルできるのを知っていましたか?

在宅介護をすると、値段の高い介護用品をいくつも買いそろえないといけないと思うかもしれません。しかし実は、多くの介護用品がレンタルできるって知っていましたか?

 

車いすや介護用ベッド、歩行補助つえなどの介護用品は、要介護者・要支援者の自立や、家で安心して暮らしを送ることをサポートしたり、介護者の多くの負担を軽減したりする役割を担っています。

 

介護用品は種類や機能によって、以下のカテゴリに分けられます。必要に応じて購入またはレンタルをして利用します。

・一般購入品

・一般レンタル可能商品

・介護保険購入商品(特定福祉用具)

・介護保険レンタル商品(福祉用貸与サービス)

 

この記事では、介護保険レンタル商品(福祉用貸与サービス)について詳しく解説しています。

介護用品の購入のメリット

新品を利用できる

介護用品を購入することのメリットは、新品を利用できる点です。数ある商品のなかから自分の気に入ったデザインのものを選ぶこともできます。また、一度購入すればずっと自分のものであるため、汚れなどを気にせず利用することができます。

長期間利用するとレンタルよりお得になることもある

介護用品の利用は長期化することが考えられます。その場合、費用面でレンタルよりも購入した方がお得になることがあります。例えば、同じ介護用品でも2,000円で購入した場合と、レンタルで月額200円かかる場合、10か月以上の利用で購入の方がコストは低くなります。

介護用品の購入のデメリット

状況の変化に対応しづらい

介護用品は、要介護者の身体の状況や住環境に合ったものを利用することが大切です。そのため、例えば身体が自分で以前より動かしにくくなった場合、より適したものに買い替える必要があります。車いすや介護用ベッドなどの大型用品の場合、費用がかさみます。また、古いものの処分費もかかります。

金銭的な負担や労力が増える

介護用品を購入する場合、レンタルよりも一時的な負担が増えます。また、長く使う場合メンテナンスが必要になりますので、その分の費用もかかります。また、レンタルであれば福祉用具専門相談員による定期的なメンテナンスがありますが、購入した場合は用具が壊れていないかなど、定期的に自分でチェックする必要があります。

介護用品のレンタルのメリット

安価で利用できる

レンタルの大きなメリットは費用の安さです。短期間での利用も可能であり、決まった期間のみ介護用品を利用したいと考えている方にもおすすめです。

交換が簡単にできる

レンタルの場合、身体の状態の変化にともなって新しいものが必要になったときにもすぐに交換できますし、自分で古いものを処分する必要もありません。不要になった場合は返却することができるため、家のなかの置き場所にも困りません。

介護用品のレンタルのデメリット

利用に気を遣う

レンタルの場合、介護用品は自分の所有物ではないため、利用に気を遣います。用品を破損してしまうと、場合によっては罰金が課せられることもあります。罰金となる破損の程度は契約によって異なるため、契約時に細かく確認しておきましょう。

長期間利用すると費用がかさむ

一時的に出費が増える購入の場合と比べて、レンタルは月々の利用料が安くなります。しかし、介護期間が長くなり、その分だけ介護用品の利用が続くと、結果的に費用がかさんでしまいます。

介護用品をレンタルするときに知っておきたいこと

介護用品レンタル、と一言でいっても、すべての介護用品を借りられるわけではありません。介護保険を使ってレンタルできる介護用品は、「介護保険レンタル商品(福祉用貸与サービス)」と呼ばれるもので、全部で13品目です。

 

また、介護度によりレンタルできないものもあります。要支援および要介護1の人がレンタルできる対象の介護用品は一部となりますので、注意が必要です。

 

さらに、どのような用品を選ぶべきか迷ったら、ケアマネージャーや福祉用具専門相談員(最新福祉用具の知識を踏まえて、利用者に適切な福祉用具を選定する役割を担っています。)に相談しましょう。

 

ちなみに、「介護保険レンタル商品(福祉用貸与サービス)」の13品目には直接肌に触れたり、使用とともに劣化の可能性があったりするものは含まれていません。それらの品目は「介護保険購入商品(特定福祉用具)」となり、こちらも介護保険を使った購入が可能です。これには、腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部、入浴補助用具などが含まれます。

レンタルされやすい介護用品

レンタルできる介護用品は13品目

ここからは、レンタルできる13品目の介護用品をご紹介します。これらは要支援・介護度によってレンタルできないものや、介護保険が効かないケースがあります。

 

以下8つの介護用品は、要介護2~5の方が対象です。

 

・車いす

自走用車いす、介助用車いす、電動車いす、電動四輪車

 

・車いす付属品

車いすクッション、姿勢保持用具、電動補助装置など車いすと一体で使うもの

 

・特殊寝台(介護用ベッド)

ベッド柵付き、または取り付け可能なベッド、かつ背上げまたは足上げ機能、もしくは高さ調節機能付きのもの

 

・特殊寝台付属品

マットレス、ベッド柵、立ち上がりをサポートするL字型ベッド柵など特殊寝台と一体で使うもの

 

・床ずれ防止用具

体圧分散効果のある床ずれ防止用の静止型マットレス、エアマットレス

 

・体位変換器

起き上がり補助装置、寝返り介助パッドなどの機能があるもの

 

・移動用リフト(つり具の部分を除く)

自力や車いすなどでの移動が困難な方のための工事不要の移動用リフト、バスリフトなど

 

・認知症老人徘徊感知機器

認知症外出通報システム、離床センサーなど

 

以下5つの介護用品は、要支援1と2、要介護1~5の方が対象です。

・手すり

工事不要で設置できる手すり、任意の場所に置いて使用できる手すりなど

 

・スロープ

段差解消のための工事不要で設置や撤去ができるもの、スロープなど

 

・歩行器

歩行を補う機能と移動時に体重を支える構造をもつ固定型歩行器や四輪歩行車など(シルバーカーは対象外)

 

・歩行補助つえ

サイドウォーカー、松葉づえ、多脚杖(3~4本の脚)、ロフストランド・クラッチなど(一脚杖のステッキ(T字杖)などは対象外)

 

・自動排泄処理装置

ベッドに寝たままの状態で排せつを処理する装置で、排尿、排便をセンサーで感知し、吸引・洗浄・乾燥を自動的におこなう装置(レンタル対象は本体のみ)

特にレンタルされやすい用品

上記の13品目のなかでも、車いすや特殊寝台、移動用リフトなどはレンタルされやすい介護用品です。大型であり、購入するとなると費用もかさむだけでなく、利用することで要介護者・介護者両者の負担を減らすことができるためです。

レンタルの流れ

介護用品のレンタルは、以下のような流れで利用します。

ステップ1:ケアマネージャーもしくは地域包括支援センターに相談

ステップ2 ケアプランを作成し、福祉用具貸与事業者を選定

ステップ3 福祉用具専門相談員が利用者宅を訪問し、用具を選定・提案

ステップ4 事業者が用具を納品し、利用者の適合状況を確認

ステップ5 用具を決定、利用者と福祉用具貸与事業者が契約

ステップ6 レンタル・サービス開始

ステップ7 福祉用具専門相談員による定期的なメンテナンス及びアフターサービス(用具の変更も可能)

 

なお、介護用品のレンタルができるのは、都道府県や市区町村から指定された「福祉用具貸与事業者」に限られます。

レンタルと介護保険について

介護保険を使うことによって、介護用品のレンタル費用を抑えることができます。レンタル料金は基本的に月額定額制がとられています。介護保険を利用した場合の利用者の自己負担は、レンタル費用の1~3割(所得により変動)です。

 

また、レンタルといっても上限額があり、これは介護保険で定められています。上限額は要介護度によって異なります。限度額を超えた利用分は全額自己負担となりますので、このことも頭に入れておきましょう。

介護保険を利用できる例

最後に、介護用品をレンタルするときに介護保険を利用できる例をいくつか見てみましょう。

例えば、自走式車いすは通常6~15万円で販売されています。それに対して、レンタルの場合の平均は1か月6,000円です。これを自己負担が1割の方がレンタルする際、自己負担額は月額600円となります。

 

また、角度を変えられる電動介護用ベッドは通常25〜40万円で販売されています。レンタルの場合の平均は1か月9,000円のため、1割負担の方が介護保険を利用してレンタルすれば、月額約900円で電動介護用ベッドを利用することができます。

 

なお、要支援や要介護1といった介護度の低い方でもレンタルできる「例外給付」という制度があります。ただし、例外給付の利用には、医師の所見が必要となります。介護度が低い場合でも、疾病などにより状態が変動しやすかったり、急速な悪化が見込まれたりする場合などは、この例外給付の対象になります。介護用品のレンタルで日常生活の負担が軽減されることがあるため、気になる方はまずは医師やケアマネージャーに相談してみましょう。

まとめ

いかがでしたか?

 

今回は、介護用品のレンタルについて、知っておきたいことやレンタルされやすい介護用品、そして介護保険を利用できる例などをご紹介しました。

 

介護用品は要介護者をサポートするだけでなく、介護者の負担を軽減するためのものでもあります。金銭的な理由から購入をためらっている方、レンタルに興味がある方はぜひ利用を検討してみてください。

 

また、介護用品のレンタルについて疑問があれば積極的にケアマネージャーや福祉用具専門相談員などに質問し、わからないことがない状態にしておくことが大切です。